研究概要

研究の目的

ウガンダの農村社会で生活するてんかん患者とその家族を支えるための、地域社会の関与にもとづく包括的なケアのモデルを提起することにある。本研究では、患者とその家族の生活の質の確保に必要な知識と資源の総体を記述し分析するために、社会科学と保健医療の両分野にまたがる学際的な研究の枠組みを提起する。より具体的には、てんかん症状とともに生きる経験や生活上の困難について、地域社会の文脈の中で明らかにするとともに、医療資源の限られたアフリカ農村において、患者の生活環境を適切に把握し継続的な治療を提供する方法を検討する。その上で、患者とその家族の生計を向上させる手法、コミュニティ・ヘルスワーカーを活用した治療の手法、および地域住民の関与にもとづく在宅ケアの手法を統合した包括的なケアのモデルを構築する。

研究計画

(a)病いの社会文化的文脈についての理解

アチョリの人々が生活するウガンダ北部をはじめとするウガンダ農村社会において、次の調査を行う。
[a1] オンコセルカ関連てんかんやうなづき症候群を含むてんかん症状とともに生きる経験や生活上の困難について、それぞれの社会の文脈の中で明らかにする。
[a2] てんかんに対する人々の恐れやスティグマに関する調査を行う。地域の文化的・宗教的な価値観や過去の国内紛争の経験が人々のてんかん理解に寄与している可能性も含めて、広い視野で検討する。

(b) 限られた医療資源のもとで患者の生活の質を確保するための治療手法の検討

ウガンダの農村地域においては、的確な診断や治療を行える人材が限られており、継続的な治療を行うための追跡手段も確立されていない。そこで以下の調査を行う。
[b1]てんかん患者の治療アドヒアランス(抗てんかん剤などの治療薬を適切に使用できているかどうか)を調査し、治療の継続を阻害する医療的および社会経済的な要因を明らかにする。
[b2]患者を長期にわたって追跡するためのデータベースを構築するための予備調査を実施する。

(c) 地域社会の関与にもとづく包括的なケアモデルの構築

てんかん患者とその家族の生活を支えるため、地域社会において利用可能な資源を活用した包括的なケアのモデルについて検討
する。

関連研究プロジェクト

平成26,27年度 挑戦的萌芽研究『ウガンダの「うなづき症候群」に対する治療とケアの方法の確立をめざす学際的地域研究』

Nodding Syndrome